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== 集合の要素を用いた証明 ==

【要点】
集合を表す方法には「外延的記法で表す方法」と「内包的記法で表す方法」がある.
外延的記法とは
A={1, 2, 3, ...}
のように要素を書き並べる方法のことをいう.
内包的記法とは
A={ x | p(x) }
のように条件p(x)を満たす変数xの集まりとして書く方法のことをいう.
条件を幾つも使って
AB={ x | xA または xB }
AB={ x | xA かつ xB }
のように書くことができるが,
AB={ x | xA , xB }
のようにカンマで区切って並べた場合は,and (かつ)の省略とする.or (または)の省略ではない.
xが集合Aの要素であることは
xA
で表し,xが集合Aの要素でないことは
xA
で表す.
xが集合A要素でないことを表すために,高校数学Tの教科書では次の記号がよく使われる.
 すなわち,打消し線を右下がりに引き,集合を左側に書く場合も,打消し線を右下がりに引く.(左右を鏡写しにしたものではない)
  xAAx
〇 印刷物では,利用可能なフォントの形に応じて,打消し線を右上がり引くものや,打消し線を垂直に引くものもあるが,どの形でも意味は同じであり,この教材では,使いやすいものを使えばよいとしておく.
  x AA x
  xAAx

【問題1】 Nは自然数全体の集合,Zは整数全体の集合とするとき,各々正しいものを下の選択肢から選んでください.(正しいものをクリック)
(1)
A={2n | nZ }, B={2n+1 | nZ }とするとき
3A 4A 3A 4A
(2)
A={2n+1 | nZ }, B={2n−1 | nZ }とするとき
A=B
ABであるがBAではない
BAであるがABではない
AB=
(3)
A={2n+1 | nN }, B={2n−1 | nN }とするとき
A=B
ABであるがBAではない
BAであるがABではない
AB=

【要点】
xAならばxB」が成り立つときABと書く.

すなわち,集合Aの任意の要素が必ずBの要素になるとき,ABと書く.

そこで,ABを証明するには,集合Aの任意の要素xを使って,その要素が必ずBの要素になることを示せばよい.
(※集合の包含関係を証明するために,要素を使う.)

ABかつBAのときA=Bと書く.

【例題1】
A={x | x=m+2n, mZ, nZ}
B={y | y=3m+4n, mZ, nZ}
とするときA=Bとなることを証明してください.
(証明)
xAのとき
x=m+2n, mZ, nZとなる整数m, nが存在する.
このとき
x=3(−m+2n)+4(m−n)…(*1)
と書けるから
−m+2n=k
m−n=l
x=3k+4l, kZ, lZ
と書ける.すなわちxB
したがって,AB


逆に,xBのとき
y=3m+4n, mZ, nZとなる整数m, nが存在する.
このとき
y=m+2(m+2n)…(*2)
と書けるから
m=k
m+2n=l
y=k+2l, kZ, lZ
と書ける.すなわちyA
したがって,BA

結局A=Bが示された.

必ずしも上記の変形(*1)でなくてもx=3()+4()の形になっていればよい.
たとえば,x=3(3m+2n)+4(−2m−n)でもよい.

同様にして(*2)でなくてもy=(m+2n)+2(m+n)でもよい.
【問題2】 Nは自然数全体の集合,Zは整数全体の集合とするとき,各々正しいものを下の選択肢から選んでください.(正しいものをクリック)
(1)
A={x | x=2m−3n, mZ, nZ}
B={y | y=4m−5n, mZ, nZ}
とするとき
A=B
ABであるがBAではない
BAであるがABではない
AB=
(2)
A={x | x=m+2n, mZ, nZ}
B={y | y=2m+4n, mZ, nZ}
とするとき
A=B
ABであるがBAではない
BAであるがABではない
AB=
(3)
A={x | x=2m, mN}
B={y | y=3n, nN}
とするとき
AB={x | x=5k, kN}
AB={x | x=6k, kN}
AB={x | x=2m+3n, mN, nN}
AB=
(4)
A={x | x=2m+1, mZ}
B={y | y=3n+2, nZ}
とするとき
AB={x | x=5k+1, kZ}
AB={x | x=5k+2, kZ}
AB={x | x=6k+1, kZ}
AB={x | x=6k+5, kZ}

【問題3】 Nは自然数全体の集合,Zは整数全体の集合とするとき,各々正しいものを下の選択肢から選んでください.(正しいものをクリック)
(1)
A={n | n=2m, mZ}
B={n | n=2m+1, mZ}
とするとき
xA, yBならばx+yA
xA, yBならばxyA
xA, yBならばx−yA
xA, yBならば
(2)
A={3n+1 | nZ}
B={3n+2 | nZ}
とするとき
xAならばx2B
xBならばx2A
xBならばx2B
xBならばx3A
(3)


とするとき
AB=A
AB=B
AB=Z
AB=
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■[個別の頁からの質問に対する回答][集合の要素を用いた証明について/17.2.26]
問題1の(1)正解は3∉Aのはずですが、それをクリックしてもXマークが出てしまうようです。
=>[作者]:連絡ありがとう.そうでないことはない・・・と言っているうちにややこしくなっていたようです.訂正しました.