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== 近似式 ==

【要点1】 1次の近似式
h≒0のとき,f(a+h) ≒ f(a)+f’(a)h・・・(1)
x≒0のとき,f(x) ≒ f(0)+f’(0)x・・・(2)
(解説)
 微分法の応用として近似式(1)を示すには,「微分係数から示す」方法と「平均値の定理から示す」方法が考えられるが,最近の高校数学Vの教科書では(手元にある4冊について)もれなく「微分係数から示す」方が採用されているので,この教材もそうする・・・生徒から見れば,微分係数の方がよく使い,親しみやすい,取り付きやすいのかもしれない.
(1)←
 関数f(x)x=aにおける微分係数f’(a)

で定義される.したがって,h0に十分近い値であるときは

が成り立つ.すなわち

・・・(1)
(2)←
(1)において,特にa=0の場合を考えると

変数をxにすると
・・・(2)
 定数とhの(xの)1次式までを使って表した式を「1次の近似式」という.

【問題1】
(1)x0に近い値であるとき,nは正の整数)の近似式をxの1次式で表してください.
解答を見る
(2)x0に近い値であるとき,の近似式をxの1次式で表してください.
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(3)xがほぼ2に近い値であるとき,の近似式をxの1次式で表してください.
解答を見る
(4)x0に近い値であるとき,の近似式をxの1次式で表してください.
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(5)1次の近似式を使って,次の数の近似値を求めてください.
解答を見る
(6)60分法で表された角度θ°は,により弧度法の角度xになる.これを使って,の近似値を小数第3位まで求めてください.
解答を見る

《十分小さい数の累乗は,0に近い数になる》
 例えば,

について

のとき


のように

となるから,の次数の高い項はどんどん小さくなる.
 特に,この例のように,のとき,は小数第n位の位取りを表す.
 様々な小数計算において,有効数字が3桁もあれば十分であることが多いから

のような近似式で十分な精度が得られることが多い.
【要点2】 2次の近似式
h≒0のとき
・・・(3)
x≒0のとき
・・・(4)
(解説)
(3)←
aを定数とするとき,変数hの関数f(a+h)
・・・@
の形の2次式で近似できるとする.@の両辺をhで微分すると
・・・A
さらにAの両辺をhで微分すると
・・・B
@ABの各々にh=0を代入すると,定数の値が定まる.



したがって

(4)←
特に,(3)においてa=0, h=xとおくと、原点の付近での近似式が得られる.


【問題2】
(1)x0に近い値であるとき,の2次の近似式を求めてください.
解答を見る
(2)x0に近い値であるとき,の2次の近似式を求めてください.
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(3)x0に近い値であるとき,の2次の近似式を求めてください.
解答を見る
(4)x0に近い値であるとき,の2次の近似式を求めてください.
解答を見る

※最近の数学Vでは,誤差の限界には触れないことが多い
(筆者も30年間,誤差の限界は一度も教えなかった)
【要点3】 誤差の限界
 hが十分小さな正の値のとき,
とした場合の誤差は,
剰余項に等しいが,このの値を求めるのは一般には難しい.
 そこで,を満たす適当な定数が見つかるとき,この値を誤差の限界という.
(解説)
 誤差の限界は,平均値の定理から説明する方が分かり易い.
 関数f(x)が2回微分可能であるとき,平均値の定理により

が成り立ち,剰余項と呼ばれ,誤差に等しい.このの値を求めるのは一般には難しいが,を満たす適当な定数が見つかれば,この定数を誤差の限界と呼ぶ.
※誤差の限界は,を満たす1つの十分条件になっており,ただ1通りに定まるわけではないが,無駄の少ない良い値であればよい.
 高校数学で「誤差の限界」を採点することが難しいのは,その数字が正しいかどうかを採点するのではなく,答案の途中経過にベストエフォートが見られるかどうかを採点しなければならないからかもしれない.[普通の数学の答案では,|M2|<0.0055が真であれば,当然|M2|<0.55|M2|<1|M2|<100もすべて真になるが,そういう真偽を採点しているのではないということを生徒が理解できるかどうか]

【問題3】
(1)0<x<0.1のとき,近似式としてを用いた場合の誤差の限界を求めてください.
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(2)0<x<0.1のとき,近似式としてを用いた場合の誤差の限界を求めてください.
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