《解説》
(定理1)
a, bが有理数のとき, なお,この関係はnの根号 に関しても成り立ちます. でなくても、 など,平方数でない数a, bが有理数という条件がなければ,[→]は成り立ちません.
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(証明)
[←] だから,明らか. [→] まず,b=0を示す: b≠0のとき, と変形でき、左辺は無理数,右辺は有理数だから矛盾.次に,を示す: a=0より, |
(定理2)
a, b, c, dが有理数のとき, より,a=0 などでも成り立つのは定理1のときと同様です. |
(証明)
[←] 明らか. [→] となり,a−c, b−dが有理数であることから、 定理1により,a−c=0, b−d=0 ゆえに,a=c, b=d |
(余談):定理1は定理2において,c=d=0とすれば得られます.つまり,定理1は定理2の特別な場合にすぎません.しかし,上に示したように,定理1から定理2が示されるので,定理1は定理2と同値です.実際の問題を解くときには,どちらの形で使ってもかまいません.
例
定理1と定理2のような特別=一般の関係は,恒等式の係数比較などでも見られます.
のとき,有理数a, bの値を求めなさい. 定理2の形で使うときは:a=4, b=3・・・(答) 定理1の形で使うときは: よりa−4=0, 3−b=0 ゆえにa=4, b=3・・・(答) このように,定理1と定理2とは区別を意識せずに使うことができます.
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《問題》---背理法による証明の練習 ⇒[背理法の基本]を見ておく |
1
以下の問に答えよ.ただし√2,√3,√6が無理数であることは使ってよい. 有理数p,q,rについて,p+q√2+r√3=0ならば,p=q=r=0であることを示せ. (「1999年度京都大学入試問題」の一部引用)
p+q√2=-r√3 と変形
両辺を2乗すると,p2+2pq√2+2q2=3r2 ここでpq≠0と仮定するとア) p=0のとき, q√2+r√3=0の両辺に√2をかけてイ) q=0のとき, p=-r√3ア)イ)いずれの場合も, p=q=r=0が成り立つ. |
2
a,bを整数,u,vを有理数とする. u+v√3 が x2+ax+b=0 の解であるならば,uとvは共に整数であることを示せ.ただし√3が無理数であることは使ってよい. (「1999年度京都大学入試問題」の一部引用)
x2+ax+b=0 の解は,だから
a2−4b=3k2(a,b,kは整数)のとき,すなわち ・・・(1)のとき aもkも2の倍数になることを示せばよい. a2−3k2=4b(a,b,kは整数)が成立するかどうかを調べる.背理法により,a=2m,k=2nがいえる. (1)によりu,vは整数となる. |
3
a,b,cが有理数で,a√2+b√3+c√6=0ならばa=b=c=0といえるかどうか調べなさい.ただし√2,√3,√6が無理数であることは使ってよい. a√2+b√3=-c√6の両辺を2乗すると
2a2+3b2+2ab√6=6c2 ここでab≠0と仮定するとア)a=0のとき b√3=-c√6よりb=-c√2イ)b=0のとき a√2=-c√6よりa=-c√3ア)イ)いずれの場合も, a=b=c=0が成り立つ. |
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■[個別の頁からの質問に対する回答][無理数の独立について/18.10.2]
余談の例の式 d√2→b√2ですか?
=>[作者]:連絡ありがとう.入力ミスですので訂正しました. |