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== ヘロンの公式,ブラーマグプタの公式 ==

1. 三角形の3辺の長さで面積を表す,次の公式を「ヘロンの公式」という
(ヘロン:ギリシャの測量家,1世紀頃)
 △ABCの三辺の長さをa, b, cとし,とおくと,△ABCの面積Sは,次の式で表される.
・・・(1)
(証明)



を次のように変形して代入する






ここで
a+b+c=2s, b+c−a=2s−2a
a+b−c=2s−2c, a−b+c=2s−2b
だから




■==ここから下は,「必要になったら証明できる」「公式を見れば変形できる」「そういう公式があったかもしれない」程度でよい.高校生が"覚える"必要はないでしょう==■
2. 次の関係式(3個×3組)は「半角の公式」と呼ばれることがある.(※文字を入れ換えると,B, Cに関する公式になる.)
 △ABCの三辺の長さをa, b, cとし,とおくと,
・・・(2.1)
・・・(2.2)
・・・(2.3)
(証明)




したがって





したがって




3. 次の関係式はモルワイデの公式と呼ばれることがある.(検算などに使える)
※文字を入れ換えると,2個×3組の公式になる.
 △ABCの三辺の長さをa, b, cとし,とおくと,
・・・(3.1)
・・・(3.2)
(証明)
正弦定理により,
を左辺に代入すると

分子を積和の公式により変形する

分母を2倍角公式により変形する


ここで,三角形の内角の和については



であるから

同様にして


ここで
であるから

4. 次のような関係式も成り立つ.
 △ABCの三辺の長さをa, b, cとし,とおくと,
…(4.1)
・・・(4.2)
・・・(4.3)
(証明)
(2.1)の関係から



これらを辺々掛けると



さらに

から

を代入し,さらに

から

を代入すると

(2.2)の関係から



これらを辺々掛けると




5. 次のような関係式も成り立つ
 △ABCの三辺の長さをa,b,cとし,とおくと,
・・・(5.1)
・・・(5.2)
(証明)









(4.2)の結果から





(5.1)を利用すると

■==以下の式を,高校生が覚える必要はないが,大学入試問題として出題されることはある==■
6. 円に内接する四辺形の辺の長さa, b, c, dとするとき,この四辺形の面積を表す次の公式を「ブラーマグプタの公式」という
(ブラーマグプタ:インドの数学者,598〜660年.--日本では聖徳太子の時代に,インドでこんな公式を考えた人がいた!!--.なお,ブラーマグプタ自身は一般の四辺形の面積を求めているつもりであったが,この公式は円に内接する四辺形の場合にのみ成り立つ)
 円に内接する四辺形ABCDの辺の長さを各々a, b, c, dとし,とおくと
● 四辺形ABCDの面積S
・・・(6.1)
● 対角線ACの長さをl,対角線BDの長さをl’とおくと
・・・(6.2)
・・・(6.3)
● 対角線のなす角をθとおくと
・・・(6.4)
● 内接四辺形の角は
・・・(6.5)
(B,C,Dについても同様)
● 外接円の半径は
・・・(6.6)
(証明)
右図において,四辺形を2つの△ABD△BCDに分けて,それらの面積の和を求める.

この四辺形は円に内接しているから

・・・(*1)

したがって
・・・(*2)
△ABD△BCDについて、余弦定理を用いると
・・・(*3)
・・・(*4)
(*1)により(*4)は,次の形に書ける
・・・(*4’)

(*3)(*4’)をcosAl’を未知数とする連立方程式とみなして解く
・・・(*3)
・・・(*4’)
cosAを消去すると



・・・(*5)
これを(*3)に代入する



・・・(6.5)証明終 ∎∥
これにより(*2)を求める.


根号内は








とおくと





・・・(*6)
この結果を(*2)に代入すると

・・・(6.1)証明終 ∎∥
(*5)より

根号内の分子は

他方で(*6.3)の根号内の分子は



これらは等しいから
・・・(6.3)証明終 ∎∥
上記のl’を表す式において,a→b, b→c, c→d, d→aのように文字を入れ替えると,

・・・(6.2)証明終 ∎∥
 対角線l, l’に平行な線分で四辺形ABCDを右図のように囲んでできる平行四辺形の面積は,四辺形ABCDの面積の2倍になる

この式に(*6.1)(*6.2)(*6.3)を代入すると




…(6.4)証明終 ∎∥
 四辺形ABCDの外接円の半径Rは,△ABDの外接円の半径Rと同じだから,△ABDについて正弦定理を適用すると

(6.3)(*6)を代入すると

・・・(6.6)証明終 ∎∥
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