== 円と直線の位置関係(まとめ) ==
《難易度の目安》
教科書の基本:★, 問題集の標準:★★,発展学習:★★★
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1. 円と直線の共有点の座標
 「円と直線の共有点の座標」を求めるには,連立方程式を解けばよい.
【例1】
 円x2+y2=5と直線y=2xには共有点があるか.あればその座標を求めてください.
(解答)
2次式(1)と1次式(2)から成り立っているような連立方程式では,1次式の方の1つの文字を2次式の方に代入消去して未知数を1つにするのが基本
次の連立方程式を解く
x2+y2=5・・・(1)
y=2x・・・(2)
(2)を(1)に代入する
x2+(2x)2=5
5x2=5
x2=1
x=±1
ア)x=1のとき,(2)によりy=2
イ)x=−1のとき,(2)によりy=−2
以上から,共有点は2つある.(1, 2), (−1, −2)・・・(答)
• 交点と接点を合わせて共有点という.
• 2組の実数解は,2交点の座標に対応する.
• 1組の重解は,1つの接点の座標に対応する.
• 実数解がないとき(虚数解になるとき)は,共有点なしという・・・「交点なし」では接点の場合があるから,交点も接点もないときは「共有点なし」という.
【問題1-1】
 円x2+y2=1と直線x−y=1には共有点があるか.あればその座標を求めてください.
[解説を読む]

【問題1-2】
 円x2+y2=10と直線y=3x−10には共有点があるか.あればその座標を求めてください.
[解説を読む]
【問題1-3】
 円x2+y2−6x−4y+9=0と直線2x+y−2=0には共有点があるか.あればその座標を求めてください.
[解説を読む]

2. 円と直線の共有点の個数
 「円と直線の共有点の個数」を求めるには
(A) 円の方程式と直線の方程式から,1文字(多くの場合はy)を消去して得られる2次方程式について,判別式の符号(正,負,零)によって判断するのが基本です

D>0⇔2点で交わる
D=0⇔1点で接する
D<0⇔共有点なし
(B) 点と直線の距離の公式を使って,円の中心(x1, y1)から直線ax+by+c=0までの距離dが,半径rよりも大きいか小さいかで判断することもできる.

d<r⇔2点で交わる
d=r⇔1点で接する
d>r⇔共有点なし

【例2】
 円x2+y2=5と直線y=2x+aの共有点の個数は,aの値が変わると,どのように変わるかを調べてください.
(解答)
y=2x+ax2+y2=5に代入すると
x2+(2x+a)2=5
5x2+4ax+(a2−5)=0
判別式をDとおくと
D’=D/4=(2a)2−5(a2−5)
=−a2+25
ア)−5<a<5のときD’>0となるから,2点で交わる
イ)a=±5のときD’=0となるから,1点で接する
ウ)a<−5, 5<aのときD’<0となるから,共有点なし
(別解)
円の中心(0, 0)から直線2x−y+a=0までの距離d

円の半径はだから
ア)d<r
  すなわち

|a|<5
−5<a<5
のとき,2点で交わる
イ)d=r
  すなわち

|a|=5
a=±5
のとき,1点で接する
ウ)d>r
  すなわち

|a|>5
a<−5, 5<a
のとき,共有点なし
【問題2-1】
 円x2+y2−2y=0と直線y=mx−3が異なる2点で交わるような定数mの値の範囲を求めてください.
[解説を読む]

【問題2-2】
 円(x−1)2+(y+3)2=5と直線y=2x+kが1点で接するように定数kの値を定めてください.
[解説を読む]
【問題2-3】
 円(x−2)2+(y−1)2=13と直線2x−3y+k=0の共有点の個数は,kの値が変わると,どのように変わるかを調べてください.
[解説を読む]

 ここまでに学んでいるように
(1) (x1, y1)が円x2+y2=r2円周上の点であるとき
x1x+y1y=r2
は,接点(x1, y1)における接線の方程式になる.
(2) (x1, y1)が円(x−p)2+(y−q)2=r2の周上の点であるとき
(x1−p)(x−p)+(y1−q)(y−q)=r2
は,接点(x1, y1)における接線の方程式になる.
 しかし,(x1, y1)が円の周上の点でなく,円外の1点であるとき
x1x+y1y=r2
(x1−p)(x−p)+(y1−q)(y−q)=r2
は,点(x1, y1)を通る接線の方程式にならない.
 一般に,(x1, y1)が円外の1点であるとき,(x1, y1)を通る接線は2つあり,(x1, y1)以外の接点がある.
 以下においては,円外の1点を通る直線の方程式を求める方法を3通り示す.
  1. 判別式が0になるという条件を使う
  2. 点と直線の距離の公式を使う
  3. 接点の座標を求めてから,直線の方程式を求める
【例3】★★
 点(1, 3)から円x2+y2=5に引いた接線の方程式を求めてください.
• 接線となる条件:判別式D=0が使える.
• 一般に,判別式を使う方法は「考え方はやさしい」が「計算は複雑」になることが多い
(解答A)
 点(1, 3)を通る直線の方程式は
y−3=m(x−1)
y=mx+(3−m)・・・@
とおける.そこで,@が円
x2+y2=5・・・A
に接するようなmの値を求める
 @をAに代入
x2+{mx+(3−m)}2=5
x2+m2x2+2m(3−m)x+(3−m)2−5=0
(m2+1)x2+2m(3−m)x+(m2−6m+4)=0
判別式をDとおくと
D’=D/4=m2(3−m)2−(m2+1)(m2−6m+4)
=m4−6m3+9m2−m4−m2+6m3−16m−4m2−4
=2(2m2+3m−2)=2(2m−1)(m+2)=0
ア) m=−2のとき
y=−2x+5・・・(答)
イ) のとき

x−2y+5=0・・・(答)
(別解B)
• 接線となる条件:点と直線の距離の公式

が使える.
• 一般に,考え方は難しくなるが,計算は簡単になる.
 点(1, 3)を通る直線の方程式は
y−3=m(x−1)
mx−y+(3−m)=0・・・@
とおける.円
x2+y2=5・・・A
の中心(0, 0)から,@までの距離が円の半径に等しくなるようにmの値を定める





ア) m=−2のとき
y=−2x+5・・・(答)
イ) のとき

x−2y+5=0・・・(答)
(別解C)
 円x2+y2=5の周上にある接点の座標を(p, q)とおく
 接線の方程式は
px+qy=5
この接線が点(1, 3)を通るから
p+3q=5・・・@
また,接点(p, q)は円x2+y2=5の周上にあるから
• 接線となる条件:接線の公式

が使える.
• 未知数が2個なるが,計算はさらに簡単になる.
p2+q2=5・・・A
p, qの連立方程式@Aを解くと
ア) p=2, q=1のとき
2x+y=5・・・(答)
イ) p=−1, q=2のとき
−x+2y=5・・・(答)

【問題3-1】★★
 点(−7, 1)から円x2+y2=25に引いた接線の方程式を求めてください.
(解答A)[解説を読む]
(解答B)[解説を読む]

(解答C)[解説を読む]
【問題3-2】★★
 点(2, 7)から円(x−1)2+(y−2)2=13に引いた接線の方程式を求めてください.
(解答A)[解説を読む]

(解答B)[解説を読む]
(解答C)[解説を読む]
※ここまで,解答が整数係数になる直線ばかりを扱ってきましたが,根号を含む解になることもあります.
【問題3-3】★★
(1) 点(−1, −2)から円x2+y2+2x−4y+1=0に引いた接線の方程式を求めてください.
(2) 原点(0, 0)から円x2+y2−4x+3=0に引いた接線の方程式を求めてください.
[解説を読む]

【接線の長さ】
 円外の1点Pと円上の接点Qの間の距離を「接線の長さ」という.
 接線の長さは,右図のような直角三角形から三平方の定理を使って求められる.
※接線を無限に長い直線と考えると「長さ」という言葉と合わないように見えるが,ここでは接点と円外の1点を結ぶ線分に対して「接線の長さ」という用語を用いる.
【例4】★★
 原点Oから円x2+y2−2x−6y+8=0に引いた接線の長さを求めてください.
(解答)
 円の方程式は
(x−1)2+(y−3)2=2
と書けるから,中心がC(1, 3)で,半径がの円
 接点をQとすると

だから,三平方の定理により


・・・(答)
【問題4-1】★★
 点P(0, 2)から円x2+y2−4x+6y+3=0に引いた接線の長さを求めてください.
[解説を読む]
【問題4-2】★★
 点P(0, 3)から円x2+y2−2x+4y−5=0に引いた接線の長さを求めてください.
[解説を読む]

【共通接線の方程式】
• 図1のような場合は,2つの円の共通接線は外側に2本ある.
• 図2のような場合は,2つの円の共通接線は4本ある.
 解き方として,ここまでと同様に
(A)判別式
(B)点と直線の距離
(C)まず接点の座標を求める
などが考えられるが,(A)は計算が複雑になり過ぎるので避けたほうが良い
 円の半径をr, R (r<R),中心C, D間の距離をd,共通接線の長さをLとすると
【共通外接線の長さ】
 右図から三平方の定理を用いて求められる

【共通内接線の長さ】
 右図から三平方の定理を用いて求められる


【例5】★★
 円x2+y2=1(x−2)2+y2=4の共通外接線の方程式を求めてください.また,そのうちの1つの共通外接線について,2接点間の距離を求めてください.
(解答)
 円x2+y2=1上の接点を(p, q)とおくと,接線の方程式は
px+qy=1・・・(1)
ここで,(p, q)は,円x2+y2=1上の点だから
p2+q2=1・・・(2)
を満たす.また,(1)は(x−2)2+y2=4に接するから,中心(2, 0)からの距離が半径2に等しい

(2)も使うと





ここで(2)より−1≦p≦1だから

このとき

ア)


イ)


以上から
・・・(答)
 円の中心をC, D半径をr, Rとし,2中心間の距離をd,2接点間の距離をLとすると,右図のような台形から,三平方の定理により
L2+(R−r)2=d2
が成り立つ.
L2+12=22
・・・(答)

【問題5-1】★★
 円x2+y2=1x2+(y−3)2=9の共通接線の方程式を求めてください.また,そのうちの1つの共通接線について,2接点間の距離を求めてください.
[解説を読む]
【問題5-2】★★
 円(x+2)2+y2=1(x−2)2+y2=4の共通接線の方程式を求めてください.また,共通外接線,共通内接線の長さを求めてください.
[解説を読む]

【弦の長さ】
(1) 右図3のように半径rの円と直線が2点で交わるとき,円の中心と直線の距離をdとすると
l2+d2=r2
によって定まるlの長さを2倍したもの,2lが弦の長さになる.
(2) 右図4のような2つの円の共通弦の長さを求めるには,2つの円の交点を通る直線の方程式を求めて,その直線と円の中心との距離を使って,(1)と同様に求めるとよい.(2つの円のどちらを使ってもよい)
【例6】★★
 直線x+y=1が円x2+y2=4によって切り取られる弦の長さを求めてください.
 円が直線によって切り取られるものは「弧」,直線が円によって切り取られるものは「弦」
 ここで出題しているのは「弦」だから,「直線が円によって切り取られる」ものを尋ねている
(解答)
 円の中心(0, 0)と直線x+y−1=0の距離は

 円の半径は2だから,三平方の定理により



・・・(答)
【問題6-1】★★
 直線x+2y=9が円(x−2)2+(y−1)2=10によって切り取られる弦の長さを求めてください.
[解説を読む]

【例7】★★
 円x2+y2=20と円x2+y2−9x+3y+10=0の共通弦の長さを求めてください.
(解答)
【2円の交点を通る円の方程式】
 2円x2+y2+ax+by+c=0x2+y2+dx+ey+f=0が交わるとき
x2+y2+ax+by+c+k(x2+y2+dx+ey+f)=0
は2円の交点を通る円を表す.
 特に,k=−1のときは,2円の交点を通る直線を表す.
上記の公式において,k=−1のとき,共通弦となる直線の方程式を表す.
x2+y2−20−(x2+y2−9x+3y+10)=0
9x−3y−30=0
3x−y−10=0・・・(1)
 円x2+y2=20の中心はO(0, 0)で半径は
(1)と円の中心との距離は


より


求める共通弦の長さは
・・・(答)
(別解)・・・2交点間の距離を計算する
y=3x−10を円の方程式に代入して,交点の座標を求める
x2+(3x−10)2=20
10x2−60x+80=0
x2−6x+8=0
(x−2)(x−4)=0
x=2, 4
交点の座標は,P(2, −4), Q(4, 2)
共通弦の長さは,・・・(答)
【問題7-1】★★
 円(x−1)2+(y+1)2=25と円(x−3)2+(y−1)2=5の共通弦の長さを求めてください.
[解説を読む]

【方べきの定理】
(1) 《右図5》
 2つの弦ABCDが円内の1点Pで交わるとき,PA·PB=PC·PDが成り立つ
(2) 《右図6》
 2つの弦ABCDが円外の1点Pで交わるとき,PA·PB=PC·PDが成り立つ
 また,接線をPTとするとPA·PB=PT2が成り立つ
• これらの性質は,初等幾何で「方べきの定理」と呼ばれるもので,相似図形の性質を使って証明できる.
• 以下においては,方べきの定理の「結果を使う」のではなく,これらの性質が「座標を用いた計算によっても証明できること」を示す.
【例8】★★
 円(x−3)2+y2=4と原点Oを通る直線y=mxとの交点をP, Qとするとき,OP·OQの積は一定であることを示してください.
(解答)
次の連立方程式を考える
y=mx・・・(1)
(x−3)2+y2=4・・・(2)
(1)を(2)に代入
(x−3)2+m2x2=4
(m2+1)x2−6x+5=0・・・(3)
(3)の判別式をDとおくと
D’=D/4=9−5(m2+1)
=4−5m2
異なる2点で交わる条件は,D’>0より
・・・(4)
(4)の条件の下で2交点のx座標をα, β (>0)とおくと,(3)の解と係数の関係から


P, Qからx軸に降ろした垂線の足をP', Q'とすると




(4)の条件下で,これらを用いると

となって,積は一定になる・・・■証明終■

【問題8-1】★★
 円x2+y2=1と点P(−2, 0)を通る直線y=m(x+2)との交点をA, Bとするとき,PA·PBの積は一定であることを示してください.
[解説を読む]
【問題8-2】★★
 a, b, rを正の数,mを実数とする.
 円(x−a)2+(y−b)2=r2と原点O(0, 0)を通る直線y=mxとが2点A, Bで交わるとき,OA·OBの積をa, b, rを用いて表してください.
[解説を読む]
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