== 三角関数の定積分 ==

【基本公式(1)】
※以下,a≠0とする.
(1.1)

(1.2)

(2.1)

(2.2)

(3.1)

(3.2)

(4.1)

(4.2)

(解説)
• 各々,右辺を微分すれば,左辺の被積分関数が得られることから,証明できる.
• 例えば,

だから(1.2)が成り立つ.
 置換積分で証明することもできる
• (3.1)は,次のように証明できる.


• (4.1)は,次のように証明できる.



【問題】 次の定積分の値を求めてください.
【1.1】

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【1.2】

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【2.1】

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【2.2】

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【3.1】

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【3.2】

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【4.1】

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【4.2】

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【基本公式(2)】
※以下,a≠0とする.
(5.1)

(5.2)

(6.1)

(6.2)

(7.1)

(7.2)

(8.1)

(8.2)

(解説)
(5.1) のことをと書く.
次に,


だから

が成り立つ.
(5.1)において,ax+b=tとおく置換積分により,(5.2)が示せる.
(6.1) のことをと書く.(英語圏では
次に,


だから

が成り立つ.
(6.1)において,ax+b=tとおく置換積分により,(6.2)が示せる.
三角関数の相互関係

の両辺をで割った式

を(5.1)の左辺に代入すると



となって(7.1)が示される.
(7.1)は「見かけ上」の2次式を積分したら,「次数が下がって」の1次式になるように「見える」ので,奇妙に見えるが,これで正しい.
taylor級数で言えば





に等しい.
(7.1)において,ax+b=tとおく置換積分により,(7.2)が示せる.
三角関数の相互関係

の両辺をで割った式

を(6.1)の左辺に代入すると



となって(8.1)が示される.
(8.1)において,ax+b=tとおく置換積分により,(8.2)が示せる.

【5.1】

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【5.2】

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【6.1】

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【6.2】

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【7.1】

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【7.2】

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【8.1】

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【8.2】

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【基本公式(3)】
※以下,a≠0とする.
 被積分関数が三角関数の累乗になっているときは「半角公式など」を使って,累乗の形を避けて積分を行うとよい.
(9.1)

(9.2)

(9.3)・・・←(7.2)で示されている

(9.4)・・・←(8.2)で示されている
(解説)
余弦の2倍角公式により

・・・@
・・・A
@から
・・・B
Aから
・・・C
(9.1)←
Bより


(9.2)←
Cより


【9.1】

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【9.2】

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【9.3】

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【9.4】

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※以下,a≠0とする.
【公式(4)】
(10.1)

(10.2)

(10.3)

(10.4)
(解説)
 基本と書いてない【公式】は,覚えなくてもよいのか,覚えなければならないのか,××年前に筆者が高校生だったころには,数学の先生にそう尋ねた.
 筆者の今の考えを言えば「覚えなくてもよいが」「必要になれば作ればよい」.大学入試で時々「6分の1公式」の扱いが話題になる.

 この問題を出すと,覚えて来た者はすぐにでき,覚えて来なかった者は時間がかかるので,他の問題に割ける時間配分が変わり,実力や思考力と異なる得点分布になってしまうという話.問題の組み合わせを考えずに出題する大学は,期待外れの学生を入れてしまうことになる.
 公式を覚えて来ただけで受かるような数学の試験は,あまり感心しないが,逆に割り切って,簡単な公式を覚えてきたら合格させて,学生数を確保することもありかな.善悪のことでなく,需要と供給のバランスで成り立つ世界が見えてくる.

(10.1)←
正弦の三倍角公式により




この式は,3倍角公式を用いて,次の形で書いてもよい.


(10.1)の別の証明:被積分関数をの形にする.

とおく
cosax=tとおく置換積分により,





(10.2)←
余弦の三倍角公式により




この式は,3倍角公式を用いて,次の形で書いてもよい.


(10.2)の別の証明:被積分関数をの形にする.

とおく
sin ax=tとおく置換積分により,






※高校生が試験会場で,限られた時間内に求めるのは難しい方だと思う.一度やっていて,薄い記憶でもあれば,できるかもしれない.
(10.3)は次の漸化式においてn=3の場合を考えるとよい.

n≧2のとき

だから



とおく
Jtanax=tとおく置換積分により,次の形になる.



よって
は定数項を含む)
上記の漸化式においてn=3の場合を考えると


(10.4)は次の漸化式においてn=3の場合を考えるとよい.

n≧2のとき

だから



とおく
Jcot ax=tとおく置換積分により,次の形になる.



よって
は定数項を含む)
上記の漸化式においてn=3の場合を考えると



【10.1】

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【10.2】

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【10.3】

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【10.4】

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※以下,a≠0とする.
【公式(5)】
(11.1)

(11.2)

(11.3)

(11.4)

(解説)
(11.1)←
半角公式を使う方法

だから




ここで,(9.2)により

だから



(11.1)は次の漸化式においてn=4の場合を考えても証明できる.

n≧2のとき

次の変換により,部分積分を行う







・・・(11.1**)
上記の漸化式においてn=4の場合を考えると

とおく




(9.1)により

結局




(11.2)←
半角公式を使う方法

だから




ここで,(9.2)により

だから


(11.2)は次の漸化式においてn=4の場合を考えても証明できる.

・・・(11.2**)
この漸化式の証明や,それを用いた(11.2)の計算は,(11.1)とほぼ同様に示せるが,長くなるので,ここでは省略する.
(11.3)は次の漸化式を利用して求められる.

この漸化式は,次のようにして証明できる.



とおく.
Jtan ax=tとおく置換積分により,次の形になる.




Iは定数を含めて考える)
・・・(11.3**)
上記の漸化式で,n=4のとき

(9.3)により

だから

(11.4)も同様にして,次の漸化式を利用して求められる.(証明略)

・・・(11.4**)

【11.1】

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【11.2】

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【11.3】

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【11.4】

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【11.1**】
について漸化式を作り,
を求めてください.
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【11.2**】
について漸化式を作り,
を求めてください.
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【11.3**】
について漸化式を作り,
を求めてください.
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【11.4**】
について漸化式を作り,
を求めてください.
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【公式(6)】
※以下,m, nは正の整数でm≠±nとする.
 積分計算は,関数の積の形になっているよりも,線形(定数倍と和差)の形の方が楽にできるので,被積分関数が三角関数の積になっているときは「積を和に直す公式」を使って,和の形にしてから積分を行うとよい.
(12.1)

(12.2)

(12.3)

(解説)
(12.1)←
三角関数の積を和に直す公式

により


だから




(12.2)←
三角関数の積を和に直す公式

により


だから



(12.3)←
三角関数の積を和に直す公式

により


だから




※以下,m, nは正の整数とする.
【12.1】

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【12.2】

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【12.3】

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